いざ!Khenti へ
朝ご飯の後、ジープ4台に分乗する。東へ小一時間。テレルジ国立公園の入り口の小さな峠で小休止。
さらに進んでテレルジの亀岩に到着。Rock Climbing を少々やっていると、下でイギリスの元男子校の校長、Reg が叫んでいる。Reg のスーツケースが車に積まれていないことが判明したのだ。どうやらホテルに残す荷物の方に分別されて、UBのホテルの倉庫にあるのだろう。ジープ1台がUBに戻ることになった。待っている間、Dinosaur のあるゲルキャンプをみにいったり、ちょっと先のUB2ホテルの前で散歩したりして時間を潰す。昼過ぎジープと Reg の荷物としかめっつらの Reg が戻ってきて、みんなで先へ進む。 |
川を渡るところで、1台ジープが Stuck。馬にのった人に頼んでロープをかけてもらい別のジープで引っ張る。シシリアはズボンをぬいで歩いて渡り、中の荷物のうち
TIM のスーツケースとバッグが濡れた。まったく踏んだり蹴ったりである。
キャンプ地手前20km?のところでジープをおろされる。ここで馬にのりかえるという。初心者がいるので、全行程Walk。お花畑の中を歩く。歩いているので、体が温まらず風もあたって結構寒い。約3時間かけて山の斜面のキャンプ地に着く。 まわりに人影なし。 |
キャンプの夜はふけて
夜、同行の看護婦がもってきたゲーム Pig Out / Pass the pigs をする。ダイスの代わりにブタの形をしたコマを振って、そのポーズで点数を加点していく単純なもの。単純なゲームほど盛り上がる。暗闇のなかに「Pig
Out!」の叫び声が響く。 今晩の泊りはテント。
Horseback Trecking
丸一日かけて、昔の僧院跡まで馬で遠足に出かける。9時に出発。初心者がいるのでずーっと
walk。同じ姿勢なので、お尻がいたいというより、ひざが痛い。鐙の位置をもう少しさげてもらえばよかった。片道3時間。風のない谷間に入ると、ハエに囲まれる。
いわゆるみなれたハエとHorse fly という大型のハエとがいる。どっちも容赦しない。馬はいやがって、しっぽはふるわ、首はふるわで揺れること揺れること。
ひざの痛いのを別にして、まわりに広がる景色がすばらしい。北の斜面には針葉樹が青々を茂っている。同じ丘でも南斜面は草原だ。それが波のように広がっている。足元には、色とりどりの高山植物系の草花が一面に。
僧院跡
ハエに包囲されたまま、僧院跡に到着。馬を杉の木に結び、人間どもはサンドイッチでお昼。僧院跡といっても入り口のカメ石の他、くずれた塀、メインの僧房は屋根と壁しか残っていない。土間には、ここでキャンプをしたと思われるたき火の跡。当時は結構大きな僧院だったことだろう。小一時間休憩したあと、帰途につく。 |
Nymphs in the stream?!
夕方は、本を読んだり、日記をつけたり、モンゴルウォッカを片手に談笑して過ごす。
そうそう川で水浴びもした。身を切るような冷たさとはまさにこのことか、と体感できるほどの冷たさ。しかし不思議と冷水を浴びた後のからだは次第に暖かく感じられてくる。 みんな思い思いに自分のテリトリーを決めて、水浴びをしている。「ボティチェリほどじゃないけどねえ」とは、同行の弁護士の弁。 少しづつ自然のリズムにゆっくり体が慣れていくのがわかる。 夜はテントの中でもとても寒かった。馬が近くまで歩きまわっているのがわかる。 |
散歩の極意
乗馬用に持ってきたウェスタンのブーツが散歩のときにいがいと役に立つ。草が30cmほどに伸びているので、歩き回るときにズボンを汚さずに歩けるからだ。モンゴルの大地はやわらかい。土にも、草にも匂いがあり、やわらかさがある。
ルバーブのようなア垂ヘ少し砂地があらわになっているところに生えている。この砂地は、プレーリードッグが穴を掘ったところにできている。つまりルバーブがあるところには、穴があると思って間違いない。歩くときは十分注意すること。谷間はぬかるんでいることが多い。とくに大きな川がなくても、小川の周りの土は十二分に水分を含んでいる。また馬や人が歩くと、ぬかるみがこね回され、思わぬ深さになっていることもある。こんなときにもブーツは役に立ったが、へたに歩くと、深みに嵌まるので要注意!
それにしても、標高や風向き、日当たりなどによって、微妙に植生が変わって行く。緑色にこんなにバリエーションがあるとは。足元に注意しながら、おいしい空気を吸いながら、歩き回る幸せ。
いざ疾走!
午後、馬に乗りたい人組みを、初心者と経験者の2グループに分けて出発。昨日とは別の方向に向けて駆け足外乗。ようやっと全速力で走る。
プレーリードックの穴を避けて走るので、ときどき馬がよけそびれてジャンプする。1頭とんでもなく、かっ飛ばす馬がいた。きくとレース用の馬だという。馬にも1頭1頭、特徴と役割がある。乗っているとキャラクタがわかって面白い。モンゴルの馬はそれにしても頑丈で、おとなしい。背丈もさほど大きくないので、モンゴル系の日本人には乗りやすいサイズだ。 |
通称”モンゴリアンルバーブ” |
岩の上まで登って、風にもめげず本を読んでいる人。スケッチする人。
Hello、Flies!
今日も風がない。ということはハエの襲撃。
午後、懲りずに、ハエのお供を従えて馬で行く。同行のソフトウェアプログラマーは、「こんなたくさんのハエ、これまで見たことない」と叫びながらもがいていた。走ればいったんはハエを振り切れるのだが、足場が不安定なのでそうそう走れない。
これが蚊でなくてよかった、と自らを慰めながら川向こうの丘まで上る。
キャンプをたたんで出立の日、前日まで機嫌の悪かった栗毛の馬が一頭見当たらない。馬主のプーシューが血眼になって駆けずり回って探している。 結局、見つからないまま、キャンプ地を出発。馬主の彼らも、このキャンプ地にはほとんどこないので、あとで気軽に探しにくることは考えられない。ジープまでの道のり2時間あまり、プーシューは、あっちの馬の群れ、こっちの群れと、群れが見えて、栗毛の馬がいると、一気に駆けていって確認している。とおりがかりのモンゴル人にも、これこれしかじかの馬をみなかったかと声をかける。 迎えのジープの待つ地点にきて、私たちが馬を下りた時点でも、結局見つけることはできなかった。馬装を解き、片づけるころにはあきらめたのだろうか、それとも私たちに気を遣って、気にするそぶりをみせなかったのか、いつものはにかみ顔をみせた。 ジープから手をふりながら、われら一行は、遊牧生活の厳しさを改めて思い知らされた感慨にふけっていた。 本当に、馬が彼らの一部であることを実感させる真剣さだった。 |
ウランバートルの市場
市場には生鮮食料品も。最近、とみに質・量とも増えたとか。生野菜がほとんどないと聞いていたのに、トマトもニンジンも、青菜も豊かに並んでいた。といっても同行してくれた在住アメリカ人は、本当に日ごとに品揃えが劇的に変わっていくマーケットに目をみはるばかり。変化は、最近になって洪水のようにおそってきているものらしい。
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モンゴル、建築ラッシュ
ウランバートル在住のアメリカ人、チェコ人等と、街を一望する川向こうの記念の丘(名前を度忘れ)のふもとのオープンスタンドで、夕焼けを眺めながらジュースで乾杯する。
Khan's Ger というお土産物屋兼カフェの一角で、モンゴル書道を実演販売しているコーナーがあった。独特のモンゴル文字の書道の美しさもさることながら、彼がつかっていた牛の骨で作ったという印刻にぞっこん。2日か予って無理いって特注で作ってもらった。
出来上がりが、左上の緑の馬のハンコ。 とても気に入ったので、代金(たしか$5)のほかに、使いかけの浮世絵柄の SF カードを 進呈した。
感動の一大巨編!帰りの飛行機の中で上映されたモンゴル映画。登場するのはヤギ only。ナレーションはモンゴル語だが、画面をみているだけで、ストーリーはわかる。
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まずは白いヤギのアップ。ヒゲが賢人の様相をみせる。白ヤギが小さかったころ、友達の黒いヤギと仲良く暮らしていた。群れは豊かな森でのんびり草をはんでいる。その平安な生活にしのびよる狼の影。何も知らずに遊ぶ子ヤギたち。群れを襲う狼。友人の黒ヤギは狼に食べられてしまうのであった。
嘆き悲しむ白ヤギ。その白ヤギに人生をさとす年老いた賢そうな白ヤギ。(たぶん。この辺は色とシワでしか登場人物(動物)を判別できない悲しさよ)。子白ヤギは、老ヤギに導かれて賢く育って行く。時々、白ヤギは、ひとり岩山に上り、殺されてしまった友人黒ヤギに思いをはせる。(らしきシーンあり)
時間が経過し(たと思う)、たくましく育った白ヤギとその群れは昔と同じく美しい森でおいしい草を食む。そしてでジャブーのように、またまた忍び寄る狼の影。。。と、白ヤギは危険が迫ったことを察知し、自らおとりとなって、狼を群れから徐々に引き離し、徐々に岩山に、上へ上へと導いていく。頂上でにらみ合うヤギと狼。ヤギの足元、1歩下がれば、断崖絶壁だ。狼が、ヤギにとびかかろうとしたまさにその瞬間、ヤギは、ひらりと身をかわし、哀れ狼は崖の下へ。(マンガのようだ)。
安堵の表情を見せる群れの面々(ヤギ面)。友人の敵もうち、群れを安全に導いた白ヤギは、ゆっくりとうなずき(たかのようにみえた)、崖の上から広大な森や山に目をあげるのであった。
めでたし、めでたし。
***
[完]